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千葉地方裁判所 昭和53年(わ)1190号 判決 1979年4月09日

本店の所在地

千葉県船橋市習志野町五丁目二番三号

法人の名称

株式会社昭和クリスタル

代表者の住居

千葉県市川市北方二丁目二七番五号

代表者の氏名

代表取締役 今藤正道

本籍

東京都新宿区三丁目六八四番地

住居

千葉県市川市北方二丁目二七番五号

会社役員

今藤正道

昭和一〇年三月九日生

本籍

兵庫県加東郡東条町新定一六六番地

住居

千葉県船橋市大穴町六〇四番地二〇

会社役員

土肥英彌

昭和一五年七月二七日生

右会社及び右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官上田廣一出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告株式会社昭和クリスタルに対し罰金三、〇〇〇万円に、被告人今藤正道、同土肥英彌に対しそれぞれ懲役一年に各処する。

被告人今藤正道及び同土肥英彌に対しこの裁判の確定した日から三年間それぞれその刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社昭和クリスタルは、千葉県船橋市習志野町五丁目二、〇五九番地一〇(昭和五一年一一月一日までは同市芝山一丁目一〇番四号)に本店を置き、水晶振動子及び水晶炉波器・水晶発振器の製造販売等の事業を営むもの、被告人土肥英彌は、昭和四八年一〇月二九日から昭和五二年二月二八日まで同会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたもの、被告人今藤正道は、昭和五〇年一二月二二日から同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人両名は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、共謀のうえ、昭和五〇年四月一日から昭和五一年三月三一日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額が三九五、五一三、七八一円(別紙(一)修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、架空仕入れ及び架空外注費を計上して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和五一年五月三一日、同県市川市北方一丁目一一番一〇号所在の所轄市川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一一九、四三一、〇五二円でこれに対する法人税額が四六、四七三、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の右事業年度の正規の法人税額一五六、八九九、二〇〇円(別紙(二)税額計算書参照)と右申告税額との差額一一〇、四二五、九〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一、被告人らの当公判廷における供述

一、被告人今藤正道の大蔵事務官(一一通)に対する質問てん末書ならびに検察官に対する供述調書

一、被告人土肥英彌の大蔵事務官(二九通)に対する質問てん末書ならびに検察官に対する供述調書

一、登記官宮崎芳男作成の登記簿謄本

一、土肥英彌作成の「定款写しについて」と題する書面一綴

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書

一、大蔵事務官作成の法人税額計算書

一、大蔵事務官作成の証明書

一、相原克行(二通、)、天野二郎(二通)、松本正、松永雅一、小林力、福田益巳、中根栄一、相原正夫、小池一夫、草塩久男、土屋光三郎、関根達郎、永島正一、小杉勇、山根康資、田原貞良、平井幾雄、松下末吉、矢本英雄(二通)、善浪龍児(三通)、苅谷光悦、川地光春、加藤泰弘、上野保蔵、小野広信(三通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、川地光春、小山昇平の検察官に対する各供述調書

一、浅香武彦、武田幸治、沢田一雄、戸佐正各作成の証明書四通

一、今藤正道外一名作成の答申書二六通

一、今藤正道外一名作成の申述書四通

一、今藤正道(二通)、土肥英彌(三通)、永島正一、中山二郎外一名、草塩久男外一名、福田益巳、田原貞良、松下末吉、善浪龍児、織田正治、諸沢充也各作成の申述書一四通

一、小杉勇作成の答申書

一、土肥英彌作成の上申書

一、土屋光二郎作成の上申書二通

一、中根隆外一名作成の取引内容照会に対する回答二通

一、夏目幸人作成の

(1)  簿外製品売上調査書

(2)  売上調査書

(3)  被告会社の簿外仕入額

(4)  原材料たな卸調査書

(5)  簿外製造経費、接待交際費及資産調査書

(6)  機械特別償却否認調査書

(7)  接待交際費調査書

(8)  雑費調査書

(9)  受取利息(預金利息、割引料)調査書

(10)  雑収入(機械賃貸料)調査書

(11)  支払利息調査書

(12)  機械測定器売却原価、減価償却費、機械装置、測定器調査書

(13)  交際費等の損金算入額調査書

(14)  未納事業税(未払事業税)調査書

一、藤島礼一郎作成の

(1)  晶栄産業(株)売上認容調査書

(2)  晶栄産業(株)仕入否認調査書

(3)  晶栄産業(株)に支払った資金解明調査書

(4)  架空給与及び仮払金調査書

(5)  架空計上の製造経費、消耗材料費及び買掛金調査書

(6)  架空外注費(内職費)調査書

(7)  雑収入調査書

(8)  普通預金各期末残高及び預金利息

(9)  定期預金残高及び預金利息調査書

一、大小田正行作成の調査書三通

一、押収してある

(1)  元帳三綴(昭和五四年押第二九号の一ないし三)

(2)  仕入帳二綴(同号の四及び五)

(3)  銀行勘定帳一冊(同号の六)

(4)  手形記入帳一冊(同号の七)

(5)  経費内訳明細帳一綴(同号の八)

(6)  給与台帳一綴(同号の九)

(7)  領収証等一綴(同号の一〇)

(8)  納品書綴一〇綴(同号の一一ないし二〇)

(9)  請求書綴二〇綴(同号の二一)

(10)  売上帳一袋(同号の二二)

(11)  ゴム印(二〇個)一袋(同号の二三)

(12)  印鑑(一三個入り二袋)(同号の二四及び二五)

(13)  内職代明細表一袋(同号の二六)

(14)  一般管理販売費、労務費、経費明細帳一綴(同号の二七)

(15)  (株)フジ関係綴一綴(同号の二八)

(16)  外注支給関係綴一綴(同号の二九)

(17)  出荷検査成績書等一綴(同号の三〇)

(18)  仕入帳等の一部一袋(同号の三一)

(19)  振替伝票一二綴(同号の三二)

(20)  仕入伝票一綴(同号の三三)

(21)  決算報告書写等一綴(同号の三四)

(22)  済普通預金通帳一冊(同号の三五)

(23)  領収証等四袋(同号の三六、三七、四三、四四)

(24)  法人税確定申告書二袋(同号の三八及び三九)

(25)  法人税修正申告書一袋(同号の四〇)

(26)  請求書一袋(同号の四一)

(27)  納品書等一袋(同号の四二)

(28)  済総合口座通帳一冊(同号の四五)

(法令の適用)

被告会社の判示所為は法人税法一六四条一項、一五九条に、被告人両名の判示各所為はいずれも刑法六〇条、法人税法一五九条一項に各該当するところ、被告人今藤正道及び同土肥英彌に対する所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告会社に対しては情状により同法一五九条二項によりその罰金額の範囲内において被告会社を罰金三、〇〇〇万円に、被告人両名に対してはその刑期の範囲内でそれぞれ懲役一年に各処し、被告人今藤、土肥の両名に対し、情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間それぞれその刑の執行を猶予することとして主文のとおり判決する。

(裁判官 松田光正)

別紙(一) 修正損益計算書

自 昭和50年4月1日

至 昭和51年3月31日

<省略>

<省略>

脱税額計算書

自 昭和50年4月1日

至 昭和51年3月31日

<省略>

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